「桃栗三年 柿八年」という諺が在りますが、もしかしたら柿は、他の果樹に比較しても、3/8 くらい、力を貯めたのち果実を稔らせる戦略を採っている植物なのかも、知れません。そう言えば、柿の実るのは、隔年、という木も、多いようです。沢山実をつけた翌年は、ほとんどなりません。この理由には、柿の実を収穫するとき、実が着いている枝を一緒に切ってしまうと、次の年の花(雌花)がある芽まで切り落とすことになるのだが、とくに、干し柿用の柿では、枝ごと収穫するために、翌年の花芽が無くなってしまいやすい、のような理由もあるのですが、そもそも柿のみならず、柑橘類の結実の多くも、隔年、という傾向があるそうなのです。

 京都大学・総合地球環境学研究所の、酒井章子さんのお教えに依ると

・隔年はどうしておきるのでしょうか?

 植物は、自然状態では、毎年開花・結実する植物でもその量は大きく変化することがよくあります。なぜでしょうか?1つめの理由は、光合成での稼ぎと、最適な開花・結実の規模の関係の不一致があります。日本のようなところでは、ほとんどの植物は1年に1回花を咲かせ実をつけます。しかし、1年という時間が、植物の繁殖のリズムに最適なのかどうか、というのは別の話です。植物が花をさかせ実をつけるのには、いろいろな理由から、ちょうどいい規模、というのがあるような気がします。ちょっとしか花を咲かせなければ、花粉を運ぶ虫に見向きもされず花粉媒介がうまくいかないかもしれませんが、たくさんつけすぎると、こんどは虫が足りなくなって無駄が多くなるかも知れません。
 1年の光合成の稼ぎと、1回の開花・結実に最適な光合成量に差があると、稼ぎを1年以上ためておいて、実をつけるは2年に1回でいいや、とか3年に2回くらいでいいかな、となったりします。しかし、なり年でない年も花が全く咲かないことはあまりありません。それは、植物がそんなにうまく開花をコントロールできないこともあるかもしれませんし、来年の開花まで生きていられるとは限らない、とか、稼ぎがあまるんだったらつかっちゃおうとか、いろいろな理由が考えられます。また、種子を食べる害虫との関係でも、コンスタントに種子を生産するのは、得策ではないと考えられています。不作と豊作が交互にあれば、不作の年に害虫の数が減るので豊作の年の種子を食べきれずに残してしまうかもしれませんが、コンスタントに毎年種子を生産していれば、毎年全滅させてしまうかもしれません。
 2つめの理由は、不確定な要素がいろいろあることです。花芽が寒さでだめになってしまったり、花が咲いても咲いた時期に天候不順で受粉がうまくいかなければ、結実量が減ります。実が付かなければ、その分稼ぎを使う量が減りますから、来年の花や実の量はぐっと増えることになるかもしれません。結実量が増えた次の年は、木も疲れて、またぐっと減ってしまうでしょう。農家の方々は、毎年コンスタントに実がなるように手入れをされるのだと思うのですが、それでも変化してしまうのですね。あまり手をいれていない木では、その差はさらに大きくなると思います。

・隔年は、距離が離れた地域でも同期しているのでしょうか。同期しているならば、なぜでしょうか。

 植物の種類や距離にもよりますが、広い地域でなり年が同調する現象はよくみられます。同期には、植物が積極的に同調させている場合と、天候など(上で述べた寒さや天候不順など)が広域で同調するために植物の豊作・凶作も同調する場合があります。後者については、あまり説明は必要ないと思います。前者については、次のように説明することができます。植物が花を咲かせるのは、花粉を交換するという目的があるのですが、たくさんの木がたくさんの花を咲かせていたほうが花粉の交換がうまくいく確率が高くなります。したがって、花が多い年と少ない年があるのなら、自分もそれにあわせた方が得なのです。また、上にのべた種子を食べる害虫との関係を考えても、豊作の年に自分もたくさん実をつけたほうがよさそうです。そのため、たくさんの植物で開花を同調させる仕組みを持っている植物がいます。たとえば、5月がとても寒い年には花を咲かせよう、とか、夏が暑ければ次の春に花を咲かせよう、というわけです。でも、同調のメカニズムはあまりよくわかっていません。

 おつまみの「柿の種」は、実際には、鏡餅のようなものの切れ端の表面を醤油でコーティングして味を付けたもので、材料は、コメですが、本物の柿の種も、これと負けず劣らずのデカさ、です。ですが、この種子は、渋柿のように渋くて、とてもとても、ナッツには成れないそうで、ちょっと、残念でした。

 柿の種子は、双子葉類のほとんどは無胚乳種子なのですが、柿の種子は有胚乳種子、なのだそうです(http://cmo.hatenadiary.jp/entry/2016/05/16/【小学生の理科入門(植物)】有胚乳種子と無胚)。

カキに加え、穀物・トウモロコシは有胚乳種子で、インゲンマメは無胚乳種子です。無胚乳種子の栄養分は、子葉です(http://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=25761003963、http://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32153001028&GroupCD=0&no=65&aid=&brandrm=True&brandrf=True)。こういう種子は、食べにくいのか、粉末化もしにくいのかも、知れません。


ちなみに、ランの仲間の無胚乳種子は、他の無胚乳種子とは違っていて、そもそも、この子葉が無く、寧ろ、胞子(よりは、だいぶ大きい)やホコリのほうに近い外観のようです(http://hanapon.karakuri-yashiki.com/rannohanasi.html)。

 内胚乳(endosperm)・外胚乳(perisperm)、というのは、内胚乳は一次胚乳(雌性配偶体の本体そのもので)+二次胚乳で(中央細胞が重複受精して3倍体の核型となり、発達する)、であるのに対し、外胚乳は、雌性配偶体外の組織(珠心など)に由来する胚乳を、指しています(https://matome.naver.jp/odai/2139314703845282801、https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Achenes_of_a_Strawberry_pit_its_red_skin_with_green._Roughly_4.25x_Magnification.jpg)。


 これは本題の柿の種子の断面、です(http://idyll47.exblog.jp/15032174/)。

これが食用しづらいのは、例えば、
・青梅の実や梅の種は毒:この毒と言われているのは、「アミグダリン」と呼ばれる成分。アミグダリンそのものには毒性は無いものの、エムルシン(emulsin)という酵素によって加水分解されるとグルコース、マンデロニトリルが生成され、さらにマンデロニトリルが分解されると杏仁豆腐やビワ酒に共通する芳香の原因になるベンズアルデヒドとシアン化水素(青酸)を発生する。
・スイカの種を食べると盲腸(虫垂炎)になる:これは多分、嘘。古代エジプトでのスイカ栽培も、むしろ種を食べるためだった、という説があるそうです。
・野ぶどうは毒:山ブドウはおいしいブドウ科ブドウ属なのに対し、野ブドウはブドウ科でもノブドウ属で、ブドウ属は全て下向きにぶら下がるのに対し、野ブドウは上に伸びて平らに枝を広げる。この果実は、毒ではなく、食べても美味しくはない、というだけの意味、だったようです。
みたいな原因(?)だったのかなぁ〜。植物にとっては、動物に捕食されることは、棲息域を広げるという意味では、ある程度は歓迎、行き過ぎはバツ、のようなものです。また、潤滑油として有用だった、ひまし油、トウダイグサ科・トウゴマの種子には、実際にも、リシン(ricin)という猛毒タンパク質が、含まれています。

 

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